「ユニクロ対ZARA」(斎藤孝浩)

最寄りの駅にもできて、すっかりおなじみになったユニクロ。肌着や靴下などの下着などをユニクロで買うと決めている人も多いのではないでしょうか。

私の場合、ズボンやシャツ、アウターもユニクロで買ってます。最初は抵抗があったのですが、下手なブランド品より品質がよいと気づいたからです。最近はどちらかといえば、安定のアパレルメーカーとして買ってます

ユニクロは最初はフリース、その次はヒートテックとヒット商品を出して徐々に知名度をあげてきました。でも、それだけで本当にここまでの企業になれたのでしょうか?

創業者の柳井さんもたくさん著書を出しておられるのですが、ユニクロが快進撃を繰り広げた理由を、客観的知りたいと思って手に取りました。

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著者について

こういう本を読むときは、著者が大事です。スターバックス関連の本もそうですが、ユニクロの知名度が高いことをいいことに、ニセモノ本が多くはびこっているからです。

著者の斎藤孝浩さんはアパレル小売の勤務を経て、ファッション&流通コンサルタントになられた方です。実際にアパレル業界に身をおいた方で、みずからファッションストアに足を運んで取材されている方なので、信頼ができます

 ZARAとの対比が面白い

タイトルにZARAもはいっていますが、私自身はZARAは入ったことがありません。恥ずかしながら、アパレルメーカーなんて、バーバリーとかの一流ブランドと低価格路線のブランドに分かれている、といった認識しかありませんでした。

なぜ、この本でZARAを比較対照に持ち上げているのか?それは、世界のアパレル分野でシェア1位です。対するユニクロは国内シェア1位で海外ではZARAを追っかける立場になっています。安定のZARAに対して、いかにユニクロが挑むのか、暗にその課題を説明するような書き方になっています。

目次を見ると、ユニクロとZARAを面白い例えで対比しています。

  • 「部品在庫」のユニクロ、「クローゼット」のZARA
  • 「ローコスト徹底」のユニクロ、「超高速空輸」のZARA
  • 「つくったものを売る」ユニクロ、「売れるものをつくる」ZARA
  • 「小売業」のユニクロ、「製造業」のZARA
  • 「松竹梅戦略」のユニクロ、「ポートフォリオ戦略」のZARA

(目次から抜粋)

中身を読んでいないとピンと来ないかもしれませんが、この例えばまた言い得て妙なのです!読んだ後に目次だけ見れば内容が思い出せるでしょう。

それぞれの主役は誰なのか?

ユニクロには柳井正氏が、ZARAにはアマンシオ・オルテガ氏というカリスマ経営者がいます。この二人を中心にそれぞれがまわっているのは間違いないのですが、カリスマ経営者を除いて考えた場合、誰が主人公なのでしょうか?

ユニクロはスーパーバイザー率いる店長たちが主役です。店長が価格決定や在庫管理、チラシ作成まで権限が委譲されています。ユニクロの店長は売れ筋商品をタイミングを逃さず売り、死に筋商品を減らすのが至上命題です

それは自店にどう集客して、どんな商品を売り込むかを自ら考える、「商売人としての店長」の育成でした。具体的には、新聞折込チラシの投入と商品在庫の持ち方について各店の店長が自ら考え、仮説検証を行って改善に取り組めるように権限と責任を与えたのです。(p.26から抜粋)

ユニクロが扱っている商品はベーシック・カジュアルと呼ばれ、ファッションの流行り廃りに強く、サイズや色のラインナップを揃えて、できるだけ多くのひとが着れるようにつくられています。商品開発も1年前から綿密に行われます。

一方のZARAは対照的です。ZARAが扱っている商品はトレンド・ファッションと呼ばれます。ZARAはプロダクトマネージャー率いるデザイナーたちが主役です。流行りの言葉で言うならば、アパレル業界でリーン開発を実践しているのがZARAです。デザイナーがその時の流行をいち早く抑えて、きまったコーディネートの服をプロトタイプとして少量、店舗に送り込みます。売れたり客の反応がよければ、どんどん増産して、持ち前の空輸インフラで送り込むのです。

ZARAの商品開発に携わるデザイナーの仕事は、顧客に今シーズンのトレンドファッションとは何かをわかりやすく伝え、顧客が流行に乗り遅れないために、どうすれば手軽にファッショントレンドにあった着こなしができるか、考えることです。(p.72から抜粋)

ユニクロの課題

この本では、ZARAは確固たるポジションを築いており、あまりスキがないように書かれています。一方のユニクロは、まずアジア諸国の人件費の高騰により高品質低価格が保てなくなるおそれがあります

また、国内市場は頭打ちになっており、事業規模を大きくするには海外進出するしかありません。その場合に、国内のようにスター店長を育成できるのかが、キーとなります。

読み終えて、ZARAに行きたくなった

ユニクロのことを知りたくて、この本を手にとったのですが、読み終わった後にZARAに興味が出てきました。ユニクロもすごいですが、ZARAの客のニーズをすばやく取り込んで反映する戦略は分かっていても到底できるものではありません。ましては、スペインを中心にしながら世界規模でこのプロセスを回しているのが驚きです。

身近にあるアパレル・メーカーへの見方が変わった、そんな一冊でした。

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